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月状骨周囲脱臼 |
月状骨と橈骨の位置関係は正常ですが、月状骨とその他の手根骨との関係が異常となり背側に転位している。 |
月状骨脱臼 |
手掌をついて倒れた時に起こる。有頭骨と橈骨の間に挟まれてはじき出されるように掌側に転位する。脱臼後1日以内であれば整復可能。しばしば見逃されるので注意が必要。 |
手根不安定症 |
症状としては、手関節の痛み、可動域制限、握力低下などがあり、手関節運動時に轢音を触知することもある。
1.舟状月状骨間解離(Scapholunate dissociation):
舟状月状骨間靭帯が舟状骨の靭帯付着部で断裂して生じる。 レントゲンでの手関節中間位側面像で、舟状骨長軸と月状骨の近位と遠位弧の中点を結んだ線のなす角は舟状・月状骨角とよばれ、正常ではこれが30〜60度の間であるが、これが70度以上であると手根背屈変形(DISI:dorsiflexed intercalated segment instability)といい、舟状月状骨間解離である。つまり舟状骨は掌屈、月状骨は背屈というように近位手根列同士で異なった方向へ動いている。 レントゲンの手関節正面像では舟状骨と月状骨の間が2mm以上の骨間間隙があり(scapho-lunate gap)舟状骨が掌屈しているので舟状骨の長径の短縮がみられ、舟状骨結節が環状にみえる(cortical ring徴候)。治療は受傷後4週間以内であれば、掌屈している舟状骨を手関節掌側の舟状骨結節を背側に押し上げるようにして整復し、同時に手関節を背屈して背屈位にある月状骨と同じ掌背屈位にもっていく、そして経皮的にキルシュナー鋼線を通して固定を行いギプスを6週間、その後装具を6週間装着する。職場復帰は半年くらいかかる。
2・三角月状骨間解離:
手関節の疼痛、可動域制限などがあり、圧痛点が月状骨と三角骨のある尺側部分にある。 レントゲンでの舟状・月状骨角は20度以下で手根掌屈変形(VISI:volar intercalated segment instability)があり、関節リウマチに合併して発生することが多い。レントゲンの手関節正面増では月状骨三角骨かんでの両骨間に間隙が存在する。月状骨が橈骨の月状骨窩からはずれ尺側に偏位することがありこれを手根尺側偏位という。関節リウマチと合併することが多いためリウマチの滑膜炎の治療が重要となることのほうが多い。
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橈骨末端骨折変形治癒後の
手根中央関節不安定症 |
手関節の掌屈が制限され、手関節運動時の有痛性轢音がある。 手関節側面のレントゲン像では、月状骨のsinkingが障害され、有頭骨は橈骨に対して背側に転位する。治療としては橈骨の矯正骨きり術が行われる。 |
三角線維軟骨複合体損傷 (TFCC) |
症状は手首の痛みです。特に前腕の回内(手のひらを床にむける)や回外(手のひらを天井にむける)などの動作で痛みを訴え、痛みは動かす時に強くなります。
尺骨頭ストレステスト(前腕を回内、回外しながら手関節を小指側に倒し痛みの有無を調べる検査)を行うと強い痛みが出ます。
三角繊維軟骨複合体(以後TFCCと略します。)損傷は手関節の小指側の痛みをおこす代表的な傷病のひとつです。
TFCCは橈骨(前腕の親指側の骨)の内側から尺骨の茎状突起(前腕の小指側の骨の、一番手首よりの、手の甲の出っ張っているところ)と月状骨、三角骨へつながる軟部組織です。
手首の小指側でクッションの役割をはたしています。関節円板と靭帯、腱鞘で形成されています。ちょうど、膝の半月板のような役割だ,と考えて下さい。
原因として、TFCC損傷は外傷(手関節捻挫や尺骨茎状突起骨折など)によって発生する場合と、 退行変性(要は老化現象)によって発生する場合とがあります。
治療を必要とする症例の多くは外傷によるものです。 (尺骨の茎状突起の骨折の場合昔は整復もせず放置したままだったことが多かったんですが、この部分の痛みを出す事が結構あることがわかり、きちんとワイヤーなどで内固定することが増えてきたようです。)
診断: X線検査では特に異常を認めません。時に、plus variant=尺骨の突き上げ(尺骨=前腕の小指側の骨が橈骨=前腕の親指側の骨に比べると長すぎる状態)を認めることがあります。関節造影では損傷部でヨード性の造影剤の漏れを認めます。診断を確実にするにはMRIや関節鏡が必要となります。
治療: 保存的治療(手術しない方法)が原則です。症状が出て間も無いうちは、安静目的のためギプス療法や装具療法(手関節固定装具)、温熱療法などで経過観察します。難治例ではステロイド関節内注射を試みます。これらの保存的治療で無効な場合や長期間に渡って放置された場合は手術的治療が検討されます。手術は関節鏡視下で損傷部を縫合、切除する方法(半月板損傷と同様ですね。)と尺骨短縮術(尺骨を短くし三角繊維軟骨複合体部への圧力を下げる方法)などが検討されます。 |
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